この記事では「新NISAと仮想通貨の違いやメリット・デメリット・どちらがおすすめなのか」をわかりやすく解説します。
読んだあとに、新NISAと仮想通貨のどちらを始めるべきか迷いがなくなり、投資の第一歩を踏み出せるでしょう。
記事前半では、新NISAで仮想通貨が買えない理由とそれぞれのメリット・デメリットを解説。
記事後半では、目的別のおすすめ投資法や併用のシミュレーション、よくある質問にもお答えします。


FP2級(資格番号第F22321050267号)
新NISAで仮想通貨は買えない
新NISAで、仮想通貨を購入することはできません。
新NISAの対象商品が金融商品取引法に基づく「一定の金融商品」に限定されており、仮想通貨はその対象外であるためです。
仮想通貨は暗号資産交換業者の取引所で売買されますが、東京証券取引所などの「金融商品取引所」とは異なる存在です。
金融庁もNISAの対象商品を「金融商品取引所に上場している商品」と定義しており、価格の透明性・流動性・信頼性の観点から、仮想通貨は現時点では基準を満たさないと判断されています。
新NISAと仮想通貨のメリット・デメリット
新NISAと仮想通貨は、どちらも資産運用の選択肢として注目されていますが、それぞれ特徴やリスクの性質が異なります。
ここでは、新NISAと仮想通貨のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
比較項目 | 新NISA | 仮想通貨 |
---|---|---|
主な目的 | 長期的な資産形成向け | 短期〜中期での値上がり益狙いが中心 |
メリット | ・運用益・配当が非課税・金融庁認可の金融商品で安心・投資信託で分散投資が可能 | ・値動きが大きく短期で大きな利益が狙える・24時間いつでも取引できる・少額から購入可能 |
デメリット | ・短期間で大きな利益を狙うのには不向き・投資対象に上場株や投信など制限あり | ・価格変動が非常に激しい・法規制やハッキングなどのリスクあり |
税制面の特徴 | ・売却益・配当が非課税(年内に限度額内で) | ・利益に最大55%の課税(雑所得)・損益通算や繰越控除は不可 |
管理のしやすさ | ・証券会社経由で口座管理が一元化できる・自動積立などのサービスあり | ・ウォレットや取引所の管理が必要・送金ミス・パスワード紛失のリスクがある |
初心者向けか? | ◎(制度が整っておりリスクが低め) | △(知識・リスク管理が求められる) |
新NISAのメリット
新NISAのメリットは、株式や投資信託の売却益・配当金がすべて非課税になることです。
通常は約20%の税金がかかりますが、新NISAなら利益をそのまま受け取れます。
また、売却した非課税投資枠は翌年以降に再利用できるため、柔軟な資産運用が可能です。
購入できる投資商品も、金融庁の基準をクリアした信頼性の高いものばかりで、投資初心者でも安心して一歩を踏み出せるような制度が整備されています。
- 運用益や配当金がすべて非課税
- 売却した非課税投資枠は再利用可能
- 金融庁が基準を定めた信頼性の高い商品が中心
新NISAのデメリット
新NISAは、損失時の税制面での救済がないというデメリットがあります。
損失が出ても特定口座など他の口座と損益を相殺する「損益通算」や、翌年以降に損失を繰り越せる「繰越控除」が使えません。
また、年間の投資上限額(最大360万円)があるため、短期間で大きな金額を投資したい人にはやや制限を感じることもあるでしょう。
- 損益通算や繰越控除が使えない
- 年間の投資上限(最大360万円)がある
- 短期的な運用には向かない
仮想通貨のメリット
仮想通貨のメリットは、短期間で大きな値上がり益を狙える可能性があることです。
なかでもビットコインは、過去に価格が数百倍になった実績もあり、高いリターンを求める投資家から注目されています。
また、取引は平日・週末を問わず24時間365日対応しており、NFTやDeFiといった最新技術との相性が良い点もGood。
- 短期間で大きなリターンが狙える
- 24時間365日いつでも取引できる
- NFTやDeFiなどの新技術と相性が良い
仮想通貨のデメリット
仮想通貨は価格の変動が非常に激しく、わずか数時間で急落することも珍しくありません。
短期間で利益を狙える一方で、大きな損失につながるリスクもあります。
また、得た利益は「雑所得」として最大55%の課税対象となるため、税制面では不利です。
詐欺的なプロジェクトやハッキングのリスクもあり、信頼できる取引所の利用や正確な情報収集は欠かせません。
- 価格変動が非常に激しい
- 雑所得として最大55%課税される場合がある
- 詐欺やハッキングのリスクがある
新NISAと仮想通貨どちらが自分に合っている?【目的別に比較】
投資で得たい目的ごとに、新NISAと仮想通貨どちらを選べばいいか表にまとめました。
比較ポイント | おすすめ | 理由の一言 |
---|---|---|
短期間で利益を狙いたい | 仮想通貨 | 値動きが大きく、短期で大きなリターンを狙えるから |
安定的に資産を増やしたい | 新NISA | コツコツ積立しやすく、長期運用に向いている |
リスクをできるだけ抑えたい | 新NISA | 金融庁が選んだ信頼性の高い商品が多く、価格変動も比較的少ない |
税金をできるだけ抑えたい | 新NISA | 運用益・配当がすべて非課税で、節税効果が大きい |
取引コストを低く抑えたい | 新NISA | 信託報酬や売買手数料が低く設定された商品が多い |
それぞれの項目ごとに解説していきます。
短期間で利益を狙いたい【仮想通貨】
短期間で大きなリターンを狙いたい方には、仮想通貨がおすすめです。
ビットコインやイーサリアムなどは、1週間で10%以上値動きすることも珍しくありません。
相場のタイミングをうまくつかめば、わずか数日でまとまった利益が出る可能性もあるでしょう。
安定的に資産を増やしたい【新NISA】
将来に向けて安定的に資産を増やしたい方は、新NISAがおすすめです。
S&P500や全世界株式などに投資できるインデックス型の投資信託であれば、リスクを分散しながら安定した成長を目指せるでしょう。
さらに、新NISAは運用益や配当金がすべて非課税となるため、複利効果を活かしながら、効率的な資産形成が可能です。
リスクを抑えた投資をしたい【新NISA】
リスクを抑えて資産運用をしたい方には、新NISAが向いています。
仮想通貨は価格の変動が非常に激しく、ハイリスク・ハイリターン型の投資だからです。
また、新NISAであれば、証券会社が倒産した場合でも、日本投資者保護基金によって原則全額が補償されます。
仮想通貨取引所にも倒産リスクがありますが、顧客資産を守るための保証制度は、まだ十分に整っているとは言えないのが現状です。
税金をできるだけ抑えたい【新NISA】
税負担をできるだけ軽くしたい方には、新NISAが圧倒的に有利です。
新NISAで得られる運用益や配当金はすべて非課税なので、どれだけ利益が出ても税金は一切かかりません。
仮想通貨の利益は「雑所得」として扱われ、所得額によっては最大55%(住民税の10%含む)もの高い税率が課される可能性も。

引用|国税庁:所得税の税率
取引コストを低く抑えたい【新NISA】
手数料をできるだけ抑えて投資したい方にも、新NISAはおすすめです。
新NISAで選べる投資信託の中には、信託報酬が年0.1%未満という非常に低いコストの商品がそろっており、長く続けるほどコストの差が資産の増え方に影響してきます。
仮想通貨の売買では1回の取引に数%の手数料がかかることがあり、取引のたびにコストがかかります。
仮想通貨は頻繁に売買する人ほど、割高になる可能性があるため注意しましょう。
新NISAと仮想通貨に共通する注意点
新NISAと仮想通貨は、制度も対象商品も異なりますが共通の注意点が3つあります。
✖ 元本保証がない
✖ 損益通算や繰越控除はできない
✖ 詐欺や悪質な勧誘に気をつける
元本保証がない
新NISAと仮想通貨には「元本保証」はありません。
預金や保険のように、預けたお金が守られる「元本保証」はないため、価格が下がればその分だけ資産が減る可能性があります。
投資には自己責任が伴い、元本割れのリスクがあることをきちんと理解し、自分のリスク許容度に合わせて無理のない範囲で運用をしましょう。
損益通算や繰越控除はできない
新NISAと仮想通貨は、損失が出ても「損益通算」と「繰越控除」はできません。
新NISAは制度上できませんが、仮想通貨の損失は「雑所得」として扱われるため、他の所得と通算ができません。
「損をしても税金で少しは取り戻せる」と思っていると、実際の負担に驚くこともあるので、あらかじめルールを理解しておきましょう。
詐欺や悪質な勧誘に気をつける
新NISAや仮想通貨に限らず、投資するうえで詐欺や悪質な勧誘には十分注意が必要です。
「絶対に儲かる」「誰でも楽に稼げる」など、都合のいい話で誘ってくるケースはとくに警戒しましょう。
新NISAも仮想通貨も、最終的には自己責任で判断するべき投資です。
信頼できる情報源をもとに、自分の意思で判断することが大切です。
新NISAと仮想通貨でよくある質問
ここでは、新NISAと仮想通貨に関するよくある質問に答えていきます。
現時点では、日本ではまだビットコイン現物ETFは上場されていないため、楽天証券やSBI証券では取り扱いはありません。
仮想通貨の利益は雑所得として総合課税されるので、最大55%(所得税+住民税)課税されます。
ビットコイン関連企業の株式や、ブロックチェーン関連ETFであれば、新NISAの成長投資枠で投資できます。
現時点では、仮想通貨が新NISAの対象になる予定はありません。
まとめ|新NISAと仮想通貨の違いを理解して、自分に合った投資方法を見つけよう
この記事では、新NISAと仮想通貨のメリット・デメリットや使い分けのポイントを解説しました。
最後に、押さえておきたいポイントをまとめておきます。
・新NISAは「長期×非課税」で安定的に資産を育てたい人向け
・仮想通貨は「短期×ハイリターン」で一発逆転を狙いたい人向け
・新NISAでは仮想通貨を直接購入することはできない
・コツコツ資産を増やしたいなら【新NISA】
・短期間で利益を狙いたいなら【仮想通貨】
・節税・コスト重視なら【新NISA】が有利
・どちらも元本保証なし
・損益通算・繰越控除は使えない
・詐欺や悪質な勧誘には十分注意
新NISAと仮想通貨は、投資対象やリスクの大きさが違います。
どちらが向いているかは人それぞれです。
自分の目的や考え方に合わせて、新NISAと仮想通貨を比較し、自分に合った方法で投資をはじめていきましょう。